聖書のヤコブとその子供たちのあらすじ(創世記 25-50章)

聖書のヤコブとその子供たちのあらすじ(創世記 25-50章)

「創世記」25-50章では、アブラハムの孫ヤコブとその子供たちの物語が展開されます。ヤコブはエサウとの兄弟間の対立や神との葛藤を経て「イスラエル」と名を改められ、12人の息子をもうけます。この息子たちはイスラエルの12部族の祖先となり、特にヨセフは兄弟たちに妬まれてエジプトに売られるも、神の導きによりエジプトで高い地位に昇り、家族を飢饉から救う役割を果たします。こうしてヤコブの一家はエジプトに移り住み、イスラエル民族の歴史が始まります。
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ヤコブとその家族の物語は、イスラエルの民としてのアイデンティティがどのようにして確立されたかを示す非常に重要な箇所です。神からの召命を受けたアブラハム、イサク、そしてその孫ヤコブに至るまで、イスラエルの歴史は神の計画と導きによって展開されていきます。ここでは、ヤコブの生涯とその12人の息子たちの物語を中心に、イスラエル12部族の誕生とその意義について詳しく見ていきます。

 

 

 

1. ヤコブの誕生と神の選び

 

ヤコブは、アブラハムの約束を継承するイサクとその妻リベカの子供であり、エサウと双子として生まれました。神はリベカに、「二つの国があなたの胎内にあり、一番年上の者が若い者に仕えるであろう」という予言を与え、ヤコブが選ばれることを示唆されました。

 

「主は彼女に言われた、『二つの国があなたの胎内にあり、二つの民があなたの腹の中から分かれ出る。一つの民は他の民より強く、一番年上の者が若い者に仕えるであろう。』」(創世記 25:23)

 

この予言により、ヤコブがエサウよりも神の約束を継承する者として選ばれたことが明らかにされ、ヤコブの一生が神の特別なご計画のもとにあることが暗示されています。

 

 

 

2. ヤコブの祝福と逃亡

 

ヤコブは、母リベカの助けを借りて、父イサクから長子の祝福を得るために兄エサウに成りすまします。この出来事はエサウの激しい怒りを引き起こし、ヤコブは命を守るためにハランへと逃れることになりました。

 

「イサクはヤコブを祝福して言った、『多くの民があなたに仕え、多くの国があなたにひれ伏すように。あなたは兄弟たちの主人となり、母の子らがあなたにひれ伏すように。』」(創世記 27:29)

 

ヤコブが父から祝福を受けたことは、彼が神から選ばれた民族の父となる運命にあることを示していました。この出来事を通して、ヤコブは信仰の父として神から特別な役割を担うことになりました。

 

 

 

3. ヤコブの夢と神からの約束

 

ハランへの逃避の途中、ヤコブはベテルで夢を見ます。その夢には天と地を結ぶはしごが現れ、神の使いたちが上下する光景が示されました。神はヤコブに現れ、祖父アブラハムと父イサクに与えた約束を再確認し、彼を祝福します。

 

「主は彼の上に立って言われた、『わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神である。わたしはあなたが横たわっているこの地を、あなたとあなたの子孫に与える。あなたの子孫は地のちりのように多くなり、東西南北に広がるであろう。』」(創世記 28:13-14)

 

この夢を通して、ヤコブは神からの約束と守りを感じ取り、この地が子孫へと引き継がれると信じました。ヤコブはこの場所を「ベテル(神の家)」と名付け、後にイスラエルの信仰の中心地の一つとなります。

 

 

 

4. ハランでの20年間と家族の形成

 

ヤコブはハランで20年を過ごし、叔父ラバンのもとで働きながら妻レアとラケルを得ました。ヤコブは妻たちとその侍女を通じて12人の息子をもうけ、これらの子供たちが後にイスラエル12部族の祖先となります。

 

- レアからは、ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン。
- ラケルからは、ヨセフとベニヤミン。
- ラケルの侍女ビルハからは、ダンとナフタリ。
- レアの侍女ジルパからは、ガドとアセル。

 

「レアは言った、『神は私を喜ばせ、私はもう一人の息子を得た。』」(創世記 30:24)

 

ヤコブが12人の息子を持つことで、イスラエルの民族が誕生し、それぞれの息子が一つの部族の始祖となりました。

 

 

 

5. ヨセフの夢と兄弟たちの嫉妬

 

ヤコブの息子の中でも、特にラケルから生まれたヨセフはヤコブの愛する子であり、この偏愛は兄弟たちに嫉妬と不満を抱かせました。ヨセフは神から特別な夢を受け取り、それを兄弟たちに話したことでますます反感を買うようになります。

 

「ヨセフは兄弟たちに言った、『聞いてください。私が見た夢の話をします。』」(創世記 37:6)

 

この夢により、ヨセフが将来的に兄弟たちを導く立場になることが示唆されますが、これに怒った兄弟たちはヨセフをエジプトに奴隷として売り飛ばしてしまいます。この出来事が、やがてイスラエル民族がエジプトに移住するきっかけとなり、さらなる神の計画へと繋がります。

 

 

 

6. エジプトでのヤコブの一族

 

ヨセフはエジプトでファラオの側近にまで登り、飢饉から国を救う役割を果たします。ヤコブの家族はエジプトに食料を求めて向かい、そこでヨセフと再会することになりました。ヨセフの手配によってヤコブとその子供たちはエジプトに定住し、ヤコブはそこで息子たちにそれぞれの未来を予言する祝福を与えた後、息を引き取ります。

 

「ヤコブはエジプトに住むこと17年、彼の年は147歳になった。」(創世記 47:28)

 

この定住が、後にエジプトでの奴隷生活の始まりとなり、イスラエルの民がモーセの指導のもとエジプトから脱出する出エジプト記へと繋がるのです。

 

 

 

7. ヤコブと12部族の意義

 

ヤコブとその息子たちが築いた12部族は、後のイスラエル民族を形成する基盤であり、神の選びと契約の実現として位置づけられます。ヤコブの息子たちは、後にイスラエルの土地分配や祭儀の役割において象徴的な存在となり、神の約束が具体的に具現化された象徴となりました。

 

この12部族が神の民「イスラエル」を形作ることで、イスラエルの歴史における民族のアイデンティティや信仰、文化が確立され、旧約聖書全体における神と人との契約関係が深まる要素として重要な意味を持つようになります。

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