聖書の登場人物のロトのまとめ

聖書の登場人物のロトのまとめ

ロトは、聖書の創世記に登場するアブラハムの甥であり、彼の家族の中で特異な役割を果たす人物です。アブラハムと共にカナンの地に移住し、最初は平和に暮らしていましたが、次第に二人の家畜が増えるにつれ、土地の資源を巡る争いが生じます。その結果、ロトはアブラハムと別れて、ヨルダンの平野を選び、ソドムとゴモラの町に住むことになります。

ロトの物語は、彼の選択が持つ重要性と、道徳的な堕落の中での神の導きを描いています。ソドムの町は罪に満ちており、神の怒りが注がれようとしていましたが、アブラハムの取り成しによって、神はロトを救うために天使を送ります。ロトは家族と共に町を離れるよう命じられますが、逃げる途中で妻が振り返り、塩の柱に変わってしまうという悲劇が起きます。

ロトの物語は、信仰と選択の重要性、そして神の救いの約束を探求しています。彼は、道徳的な試練に直面しながらも、神に従い続ける姿勢を示し、信仰の共同体における重要な教訓を提供しています。ロトは、困難な状況の中でも神に導かれ、救われることの象徴として位置づけられています。

 

1. アブラハムとロトの旅路:神の召命に応えて

ロトは、叔父アブラハムとともにメソポタミアの地を出発し、神の約束の地へ向かう信仰の旅に同行しました。アブラハムは神からの啓示に従って移住を決め、その信仰にロトも応え、共にカナンの地へ向かいました。彼らはその後、羊や財産が増えるにつれて家族間での土地の争いが生じたため、互いのために別々に暮らすことを決断します。

 

> 「アブラム(アブラハム)はロトに言った、『私とあなたの間に争いがないようにしよう。…この地はあなたの前にある。もしあなたが左に行けば、私は右に行こう。もし右に行けば、私は左に行こう』」(創世記13:8-9)

 

 

 

2. ソドムへの選択:豊かな土地への移住と誘惑

ロトはヨルダンの豊かな平原を選び、ソドムに住むことにしました。この地域は緑豊かで肥沃でしたが、町の人々は神の教えに背く生活をしていました。ロトは物質的な豊かさに惹かれましたが、その選択が後の危機を招くことになります。

 

> 「ロトは目を上げてヨルダンの低地を見渡すと、…それはどこも潤いがあり、…ソドムとゴモラの地に至るまで、主の園のようであった」(創世記13:10)

 

> 「ソドムの人々は悪く、主の前に非常に罪深かった」(創世記13:13)

 

 

 

3. ソドムとゴモラの滅び:神の裁きとアブラハムの取りなし

ソドムとゴモラの罪深さが極まり、神はこれらの町を滅ぼすことを決意します。アブラハムは神の前でその裁きを懇願し、正しい人が十人でもいれば町を滅ぼさないように求めます。神はアブラハムの信仰に応え、彼のためにソドムにいる義人たちを探されることを約束しました。

 

> 「アブラハムは主に近づいて言った、…『もしその町に五十人の正しい人がいるなら、…あなたはその町をお赦しになりますか?』」(創世記18:23-24)

 

> 「アブラハムは言った、『どうかお怒りにならないで、あと一度だけ言わせてください。もし十人がそこに見つかれば?』主は言われた、『その十人のために滅ぼさない』」(創世記18:32)

 

アブラハムの祈りと取りなしにより、神の憐れみが示されました。

 

 

 

4. 神の使者の到来とソドムの堕落

神は二人の天使をソドムに送り、ロトの家族を救い出そうとされました。天使たちがロトのもとを訪れると、ソドムの人々は堕落し、彼らに危害を加えようと集まりました。しかしロトは勇気を持って使者たちを守ろうとし、神の使者たちによって救われます。

 

> 「その夜、ソドムの人々はロトの家を取り囲み、…『彼らを引き出せ』と叫んだ」(創世記19:4-5)

 

> 「彼ら(天使たち)はロトに言った、『あなたのここにいる誰でも連れ出しなさい』」(創世記19:12)

 

ソドムの町の人々の邪悪な行いにより、神はさらに裁きの意志を強めましたが、ロトは義人として家族を守ろうとしました。

 

 

 

5. ロトの家族の避難と神の救い

神の使者はロトとその家族に急いで逃げるよう命じましたが、絶対に後ろを振り返らないようにと警告します。ロトと娘たちはこの警告に従い無事に避難しましたが、妻は振り返ってしまい、塩の柱に変えられてしまいます。

 

> 「逃げるのだ。後ろを振り返ってはならない。この低地のどこにもとどまってはならない」(創世記19:17)

 

> 「ロトの妻は後ろを振り返ったため、塩の柱となった」(創世記19:26)

 

神の厳粛な警告に従わなかったロトの妻の行為は、信仰の従順さと神への忠誠心の重要性を示しています。

 

 

 

6. ロトの後の生活と子孫

ソドムとゴモラが滅びた後、ロトと彼の娘たちは山へ逃れ、洞窟で生活することを余儀なくされました。娘たちは自分たちの家族を存続させるために父ロトと子をもうけるという計画を立て、二人の息子モアブとベン・アミを生みました。この息子たちはモアブ人とアモン人の先祖となり、イスラエルと関わりを持つ民族の源となりました。

 

> 「長女はモアブと名づけられ、今日のモアブ人の先祖である」(創世記19:37)

 

> 「次女もまた子を産み、その名をベン・アミと名づけた。今日のアモン人の先祖である」(創世記19:38)

 

この行為の結果として、モアブ人とアモン人が生まれ、彼らは後にイスラエルと複雑な関係を築く民族となりました。

 

 

 

ロトの教訓と信仰
ロトの物語は、豊かな土地や物質的な誘惑に引き寄せられる人間の選択と、それに伴う困難を描いています。また、信仰を持ち続ける義人であったロトは、神からの裁きと慈悲の間で救いを経験し、神の寛容さと厳格さを知りました。彼の生涯は、道徳的な選択が人生に与える影響を示し、私たちに神の導きに従う大切さを教えています。また、アブラハムの祈りがロトの救いにつながったように、他者への取りなしの祈りがどれほど効果的であるかを示すものでもあります。