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アレッポ写本とは?ユダヤ人最高の聖書写本とされる“失われた宝”
はじめに
アレッポ写本(Aleppo Codex)は、現存するヘブライ語聖書写本の中で、最も権威があると評価されるマソラ写本です。その精密さ、校正の正確さ、歴史的背景は、後の聖書本文校訂において中心的な役割を果たしてきました。しかしこの写本には、壮大な歴史の中で失われた部分や、密輸・火災・政治的背景といったドラマも刻まれています。
名称:アレッポ写本(Codex Aleppo)
成立年:およそ西暦930年頃
筆写地:イスラエル・ティベリア(ガリラヤ湖西側)
校訂者:マソレテスのアハロン・ベン・アシェル
言語:古典ヘブライ語(母音・アクセント・マソラ注釈付き)
現所蔵:イスラエル国立図書館(エルサレム)
この写本は、マソラ本文の最高峰とされるベン・アシェル学派による唯一の完全写本として、古代以来ユダヤ人の間で最も権威ある聖書とされてきました。
アレッポ写本は、マソラ学者アハロン・ベン・アシェルとその一族によって編集されました。ベン・アシェルは、マソラ本文(ヘブライ語聖書の標準テキスト)を体系的に整備した最重要人物です。
この写本は一時期、著名なユダヤ哲学者マイモニデス(ラビ・モーシェ・ベン・マイモン)の手に渡り、彼もこの写本を最も信頼できる本文と認めていました。
その後、写本はエジプトからシリア・アレッポのユダヤ人共同体に移され、何世紀にもわたってアレッポの「大シナゴーグ」に厳重に保管されました。ここから「アレッポ写本」という名前が付けられたのです。
アレッポ写本は、アハロン・ベン・アシェルの校訂作業を直接受けた唯一の現存写本とされ、その本文の正確性・規範性において他のマソラ写本より上位に置かれています。
マソレテスたちが書き残した注釈(マソラ小注/大注)は非常に緻密で、文字数、語数、発音、意味、使用頻度までも詳細に記録されています。
アレッポ写本は、そのカリグラフィー(書字術)と装飾の美しさでも知られ、当時の写本文化の最高水準を示しています。
1947年、国連によるイスラエル建国決議が発表された直後、アレッポのユダヤ人地区が暴徒に襲撃され、大シナゴーグも焼失。写本は焼けたと信じられていました。
実際には、アレッポ写本の一部は焼け残っており、シリアのユダヤ人が密かに保存していました。1958年、写本はイスラエルに密輸され、エルサレムにあるベン・ツヴィ研究所に届けられましたが、全体の約40%(特にモーセ五書の大部分)が失われていたことが判明しました。
現在はイスラエル国立図書館とシュラム聖書博物館で、保存・研究・デジタル公開が進められています。
写本名 | 年代 | 完全性 | 特徴 | 現在の利用状況 |
---|---|---|---|---|
アレッポ写本 | 約930年 | 不完全(五書が欠落) | ベン・アシェル系、最高の権威 | BHS、BHQの参考文献 |
レニングラード写本 | 1008年 | 完全 | アレッポと同系、底本として使用 | BHS/BHQの底本 |
死海写本 | 紀元前2世紀〜1世紀 | 断片多数 | 原初の本文形態、異文あり | 比較研究に活用 |
アレッポ写本は、レニングラード写本が広く使われる前、マソラ本文の校訂の「理想形」とされていました。現在でも、BHSやBHQの脚注や比較研究で頻繁に参照されます。
アレッポ写本のデジタル画像は、イスラエル国立図書館の公式プロジェクト([https://www.aleppocodex.org)で高解像度画像と注釈付きで公開されており、世界中の研究者が閲覧可能です。](https://www.aleppocodex.org)で高解像度画像と注釈付きで公開されており、世界中の研究者が閲覧可能です。)
アレッポ写本は、聖書本文の精密な校訂と宗教的敬虔さが融合したユダヤ人の精神的遺産であり、その後の聖書研究に計り知れない影響を与えてきました。たとえ一部が失われたとしても、その残された本文と注釈は今もなお最高の規範的聖書本文としての価値を保ち続けています。
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