聖書 カインとアベルのあらすじ(創世記 4章)

聖書 カインとアベルのあらすじ(創世記 4章)

「創世記」4章では、アダムとエバの息子であるカインとアベルの物語が描かれます。兄のカインは農夫、弟のアベルは羊飼いとして神に供物を捧げますが、神はアベルの捧げ物に目を留め、カインの捧げ物には目を留めません。嫉妬に駆られたカインはアベルを野で殺害し、これにより人類最初の殺人が起こります。この罪によりカインは神から罰を受け、地上をさまよう者としての運命を背負うことになります。
1. 創造の背景

 

アダムとエバが神によってエデンの園に創造されて間もなく、人間の罪の歴史が始まりました。アダムとエバが知恵の木の実を食べたことで、二人は神の前に罪を犯し、エデンの園から追放されました。その後、二人の間には息子カインとアベルが生まれました。この物語は、エデンの園から離れ、罪と人間関係の摩擦を抱える世界で始まる人類の新しい段階を示しています。

 

2. カインとアベルの奉納

 

カインとアベルはそれぞれ、神に対して捧げものをする機会を与えられました。カインは農業に従事し、地の作物を捧げました。一方で、羊飼いであったアベルは、自分の羊の初子とその脂肪を神に捧げます。聖書はこの奉納の場面について次のように語っています。

 

「時がたって、カインは土の実を持ってきて、主に捧げ物とした。アベルもまた、羊の初子とその脂肪を持ってきた。主はアベルとその捧げ物とに目をとめられたが、カインとその捧げ物とは顧みられなかった。」(創世記 4:3-5)

 

神がアベルの捧げ物には目を留め、カインの捧げ物は顧みなかったため、カインは非常に怒り、不満を抱きます。

 

3. カインへの神の警告

 

カインの心が怒りと嫉妬に満たされているのを見た神は、彼に対して警告を与えます。神は、正しい行いをすることが重要であり、そうでなければ罪が彼を襲うことを警告します。

 

「主はカインに言われた、『なぜ、あなたは怒っているのか。なぜ顔を伏せているのか。もしあなたが正しいことを行うなら、顔を上げることができる。しかし、正しいことを行わないなら、罪が戸口で待ち伏せている。その罪はあなたを求めているが、あなたはそれを治めなければならない』」(創世記 4:6-7)

 

神はカインに罪の支配から逃れ、自己制御の重要性を説きますが、カインはこの警告を無視する道を選びました。

 

4. カインによるアベルの殺害

 

カインは弟アベルに「さあ、野に行こう」と言い、二人で野に出たとき、カインは怒りに駆られ、アベルを殺害しました。この出来事は人類史上最初の殺人であり、兄弟間の争いの象徴的な例として描かれています。

 

「カインは弟アベルに言った、『さあ、野に行こう』。そして彼らが野にいたとき、カインは弟アベルに襲いかかり、彼を殺した」(創世記 4:8)

 

この行動により、カインは自らの手で罪を犯し、神の前に大きな罪人として立つことになります。

 

5. 神によるカインの裁き

 

アベルの血が地に流れ、神はカインに対して尋ねました。「あなたの弟アベルはどこにいるのか?」カインは自らの罪を認めず、「私は弟の番人でしょうか」と答えますが、神はカインの罪を既に知っていました。神は、カインに対して裁きを宣告し、彼が地上での生活に苦しむことを告げます。

 

「主は言われた、『何ということをしたのか。あなたの弟の血が地からわたしに叫んでいる。今、あなたは呪われて地から追われる。地は口を開けて、あなたの手から弟の血を受けたのだ』」(創世記 4:10-11)

 

カインは地を耕しても実りがない状態になり、放浪の生活を余儀なくされます。

 

6. カインの恐れと神の保護

 

カインは神の裁きに恐れ、誰かに殺されるのではないかと懸念します。すると神は、カインを保護するしるしを与え、彼を殺そうとする者には七倍の報いがあると宣言します。

 

「主はカインに言われた、『そのようなことはさせない。カインを殺す者があれば、その者は七倍の報いを受けるであろう』。主はカインにしるしをつけ、彼を見つける者が誰も彼を殺さないようにされた」(創世記 4:15)

 

こうしてカインは、神の保護を受けながらも、罪の重荷を背負って地上を放浪することになります。

 

7. カインとアベルの物語の教訓

 

この物語は、神に対する献身の重要性、罪が人間の心に影響を及ぼす様子、そして罪の裁きとその後の神の赦しと保護について示しています。人間は罪に引き寄せられやすい存在である一方で、神はその人が正しい道を選べるように警告を与え、またその人を見捨てずに守り続けてくださる方であるというメッセージが込められています。