1. ルツの背景と出発
ルツはモアブ出身の女性で、彼女の物語は「ルツ記」に記されています。エリメレクというユダ族の家族がモアブに住んでいたとき、ルツはその家族の一員として嫁ぎましたが、エリメレクの死後、彼女の夫も亡くなり、ナオミと二人の義理の母となります。ルツは家族を支えるためにナオミと共に故郷のベツレヘムに戻る決意をします。彼女の忠誠心と愛情は、特に有名な言葉で表現されています。
「ナオミは、自分の民のところに帰るために、モアブの地を去る決心をした。そのとき、彼女の二人の嫁も共に出て行った。ナオミは彼女たちに言った、『私の民のところに帰るために、わたしを送りなさい。』」(ルツ記1:6-8)
ナオミがモアブでの生活について語る中で、ルツはナオミを強く支える決意を固めます。
「ルツは言った。『あなたを見捨てず、あなたについて行くことを決してやめません。あなたの行くところに私も行き、あなたの住むところに私も住みます。あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です。』」(ルツ記1:16)
この決意により、ルツはナオミと共にベツレヘムに向かいます。
2. ベツレヘムでの生活
ベツレヘムに戻ったルツとナオミは、困難な生活を強いられます。ルツはナオミのために収穫の際に畑で麦を拾うことを始めます。彼女はボアズという富豪の畑で働くことになり、ボアズはルツの忠誠心に感銘を受けます。
「ルツは言った。『私が畑へ行き、私の後ろで拾うように、私を許してくださいますか。』ナオミは彼女に言った、『行きなさい。』」(ルツ記2:2)
ボアズはルツに親切にし、彼女のために収穫物を余分に残すよう指示します。
「ボアズはルツに言った。『あなたはここで私の女中たちと一緒にいることを知っているので、私の畑から水を飲みなさい。』(ルツ記2:9)
3. ボアズとの関係の深化
ルツとボアズの関係は次第に深まります。ナオミはボアズが彼女たちの親族であることに気づき、ルツにボアズに求婚するように勧めます。ナオミはルツにボアズの足元で寝るように指示し、彼女の求婚の意図を示します。
「ナオミは彼女に言った。『あなたのするべきことを教えます。身支度をして、ボアズのところに行き、彼に求婚しなさい。』(ルツ記3:3)
ルツはナオミの指示に従い、ボアズに求婚します。ボアズは彼女を受け入れ、モアブの女性であるルツを大切に扱います。
「ボアズは言った。『あなたは今日、私に求婚しに来た。あなたの名は何か?』と尋ねた。ルツは『私はルツです。』と答えた。』(ルツ記3:9)
4. ボアズの贖いの行為
ボアズはルツの求婚を受け入れ、彼女を贖う権利がある他の親族がいることを知ります。ボアズはその親族に相談し、ルツを妻として迎える権利を行使します。
「ボアズはその親族に言った。『ナオミが私たちの兄弟エリメレクの畑を売ることを聞いた。あなたがその畑を引き受ける権利がある。』(ルツ記4:3)
ボアズは無事にルツを妻に迎え、彼女と結婚します。これにより、ルツはナオミを支え続けることができ、二人は共に祝福を受けます。
「ボアズはルツを妻に迎え、彼女と結婚した。主は彼女に子を授けられた。」(ルツ記4:13)
5. ルツの子孫とその意義
ルツはボアズとの結婚により子を授かります。その子の名前はオベデであり、オベデはエッサイ、エッサイはダビデの父となります。ルツはメシヤの系図に名を連ねる特別な存在となりました。
「ルツはボアズを生んだ。その子の名はオベデであり、オベデはエッサイ、エッサイはダビデを生んだ。」(ルツ記4:17)
このことは、彼女が信仰の中での重要性を持ち、神の計画の一部であることを示しています。
6. ルツの教訓
ルツの物語は、忠誠心、愛、信仰、そして神の計画の中での人間の役割を示しています。彼女は異邦人でありながら、神の祝福を受けることとなり、イスラエルの歴史において重要な人物となりました。ルツの生涯は、他者に対する愛と神に対する信頼の大切さを教えてくれます。
また、ルツ記の中で強調されるのは、神の計画が人間の意志や境遇を超えて実現されるという点です。ルツは、信仰を持ってナオミに従い、家族を支える姿勢を見せ、最終的には神の導きによって大きな祝福を受けました。このような彼女の物語は、私たちにも希望を与え、神の導きを信じる勇気を与えてくれます。