エジプトに移住したイスラエルの民は、しばらくは繁栄し、平和な時を過ごしましたが、数世代が経つにつれ、彼らはエジプトで苦しい奴隷生活を送ることになります。この時代は、エジプトの統治者たちがイスラエル人を危険視し、厳しい扱いを課したことから、イスラエルの民が苦しみと試練を通じて神への信仰を試される重要な局面です。この試練を通して、神の救済計画が動き出し、後の出エジプトという解放への道筋が描かれていきます。以下、イスラエルの民がどのようにしてエジプトでの奴隷生活に至り、その状況がどのように発展していったかを詳述します。
エジプトに移り住んだ当初、イスラエルの民はヨセフの影響力のおかげでエジプトのゴシェン地方に居住することを許され、平和な生活を送っていました。ヨセフの高い地位は、エジプト王ファラオからの信頼の証でもあり、彼の家族であるイスラエル人もまた恩恵を受けて繁栄しました。
神の祝福を受けたイスラエルの民は、子孫が増え、やがて大きな民族集団として発展していきます。しかし、この人口増加と繁栄がエジプト人に不安をもたらし、イスラエルの民への態度が一変する要因ともなります。
時が経つにつれ、ヨセフを知る者たちが世を去り、彼の貢献や功績も忘れられていきました。そして、新しいエジプトの王が即位し、この王はイスラエルの民の数と勢力を脅威として感じ、支配者としての危機感を募らせていきます。
新しいファラオは、イスラエルの民がエジプト国内で反乱を起こし、外部の敵と手を結ぶ可能性を恐れ、エジプトの安定を保つために彼らを抑えつける決断を下しました。
ファラオはイスラエルの民の力を抑えつけるため、彼らに過酷な労働を課し、エジプトのためにピトムとラメセスという倉庫都市の建設を強制しました。イスラエル人は重い労働に従事させられ、肉体的にも精神的にも苦痛を受けるようになります。
彼らが強いられた労働は極めて過酷であり、また労働条件も厳しく、奴隷状態にまで追い詰められました。このような生活は、イスラエルの民にとって絶えず重圧を与え、彼らの精神も肉体も次第に疲弊していきました。
ファラオはイスラエルの民が数でエジプト人を凌駕するのを防ぐため、さらなる抑圧策として男児が生まれたら殺すという命令を出しました。ファラオの命令により、ヘブライ人の男児が生まれた場合には命を奪うように命じられましたが、神を恐れる助産婦たちはファラオの命令に従わず、命を救う選択をします。
助産婦たちの勇気と信仰は、神に対する畏敬の念に基づいており、イスラエルの民が増加する要因となりました。助産婦たちはファラオの命令に従わないことで、イスラエル人の男児が生き延びることができ、神は彼女たちを祝福しました。
イスラエルの民はエジプトでの奴隷生活に苦しみ、神に助けを求めて嘆き叫びました。彼らの叫び声は神に届き、神はアブラハム、イサク、ヤコブに対して約束された契約を思い出され、イスラエルの民を救い出す計画を開始します。
エジプトでの奴隷生活は、イスラエルの民が神を頼る信仰を深める時期であり、この試練を通して、神が選ばれた民を救い出し、約束の地に導く準備が整えられていきます。この時期に、後に神からの使命を受けてイスラエルを導くモーセが誕生し、彼がイスラエルの民の救済者として登場することになるのです。
エジプトでの奴隷生活は、イスラエルの民にとって信仰の試練の時であり、彼らの耐え忍ぶ姿が神の計画の一部として重要な意味を持っていました。この苦難の中で、イスラエルの民は神への信頼をさらに深め、モーセを通じた解放の日を待ち望むことになります。