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レニングラード写本とは何か?最古の完全なヘブライ語聖書とその驚くべき精度
はじめに
「レニングラード写本(Leningrad Codex)」は、現存する中で最古の完全なマソラ写本であり、今日のヘブライ語聖書(旧約聖書)の学術的標準テキストの基礎になっています。この写本は、ユダヤ教・キリスト教・聖書学研究において極めて重要な地位を占めており、その保存状態、正確性、歴史的価値は世界中の学者たちから高く評価されています。
正式名称:Codex Leningradensis
完成年:西暦1008年(または1009年)
言語:古典ヘブライ語(マソラ母音付き)
内容:ヘブライ語旧約聖書(タナハ)の全巻を完全に含む
現在の所蔵先:ロシア国立図書館(サンクトペテルブルク)
この写本は、古代のヘブライ語聖書本文が最も正確に、そして完全な形で残されたものとして知られています。
レニングラード写本は、おそらくエジプトのカイロ周辺で書き写されたと考えられています。その根拠は、序文に記された記述や当時の写本制作の中心地がエジプトであったことにあります。
「レニングラード写本」という名前は、写本が長年にわたり旧ソ連のレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)に保管されていたことに由来します。現在はロシア国立図書館に所蔵され、「Codex Leningradensis B19A」とも呼ばれています。
この写本は、ティベリア学派のマソラ伝統、特にベン・アシェル系統に属しており、ヘブライ語聖書本文の模範とされています。これは、マソレテスのアハロン・ベン・アシェルの伝統を受け継いだもので、後世の聖書本文校訂の基準として用いられました。
写本には、上下左右の欄外に大量の「マソラ小注(Masora Parva)」「マソラ大注(Masora Magna)」が付記されており、写し間違いやすい語句や、特定の語の使用回数、異例の綴り方などが記されています。
レニングラード写本には、幾何学模様や植物文様などの美しい装飾が随所に見られます。特に詩篇や巻頭ページには装飾的なデザインが施されており、芸術的価値も非常に高いとされています。
現在の学術的ヘブライ語聖書である:
Biblia Hebraica Stuttgartensia(BHS)
Biblia Hebraica Quinta(BHQ)
これらはすべて、レニングラード写本を底本として編集されています。つまり、現代の学問的な旧約聖書研究は、この写本を中心に成り立っているのです。
アレッポ写本(10世紀)はレニングラード写本より古く、ベン・アシェル本人の編集に近いとされる最良のテキストでしたが、一部が失われているため、「完全な写本」としてはレニングラード写本が最高峰となります。
比較対象 | 年代 | 完全性 | 特徴 |
---|---|---|---|
レニングラード写本 | 1008年 | 完全 | マソラ注釈が豊富、標準テキスト |
アレッポ写本 | 約930年 | 不完全(損失あり) | ベン・アシェル伝統に最も忠実 |
死海写本 | 紀元前2世紀〜1世紀 | 断片 | マソラ本文の前段階、異文あり |
七十人訳聖書 | 紀元前3世紀 | 翻訳のみ | ギリシア語、異なる写本伝統に基づく |
現在、レニングラード写本は以下のようなプロジェクトで高解像度デジタル画像として閲覧できます:
・ [Westminster Leningrad Codex](https://www.tanach.us)
・[Aleppo Codex and Leningrad Codex Projects](https://www.sefaria.org)
翻訳者や神学者、聖書考古学者は、この写本を基準に、他の写本(死海文書、七十人訳、サマリア五書など)との比較・校訂を行っています。つまり、聖書研究の「座標軸」のような存在です。
レニングラード写本は、ただの古文書ではありません。これは、1000年以上前の写本が、今日の聖書理解の根幹を支え続けているという驚くべき事実を物語っています。マソレテスたちの信仰と学問が生んだこの写本は、聖書の正確性と永続性を証明する「生きた遺産」と言えるでしょう。
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